帝国データバンクの「全国社長年齢分析(2020年)」によると、中小企業の経営者の年齢は60代以上が
過半数です。
つまり、経営者が高齢となるそれらの中小企業では、事業承継が喫緊の課題となっています。
しかし、その課題を解決できず、問題として抱えている中小企業の経営者が多く存在するのが現状です。
事業承継問題は、経営者であれば必ず経験することです。
企業の経営者であれば、年齢にかかわらず事業承継の現状について理解を進めておき、早いうちから準備を
進めておく必要があります。
■67.0%の企業が事業承継を経営上の課題と認識
「経営上の問題の一つと認識している」と回答した企業は55.2%、「最優先の経営上の問題と認識している」は11.8%となり、合計すると67.0%が事業承継を経営上の課題と認識している結果になりました。3年前に実施された同様の質問項目について、「経営上の問題の一つと認識している」と回答した企業は57.5%、「最優先の経営上の問題と認識している」は13.6%となり、合計すると71.1%であり、前回調査より回答割合は低下したものの、約7割の企業が事業承継を経営上の課題と位置付けています。
<「事業承継に関する企業の意識調査」における2020 年と2017 年の比較 >
2020年 | 2017年 | |
最優先の経営上の問題と認識している | 11.8% | 13.6% |
経営上の問題の一つとして認識している | 55.2% | 57.5% |
経営上の問題として認識していない | 21.6% | 18.2% |
分からない | 11.4% | 10.8% |
■企業の4割が事業承継計画を有している
事業承継計画の有無については、「計画があり、進めている」という企業は18.7%、「計画はあるが、まだ進めていない」は21.2%であり、合計すると39.8%は事業承継計画を有している結果となりました。2017年調査では、「計画があり、進めている」という企業は22.9%、「計画はあるが、まだ進めていない」は21.3%であり、合計して44.2%となっています。
年代別に見ると「計画があり、進めている」又は「計画はあるが、まだ進めていない」と回答した割合は、39歳以下で19.0%、40代で21.6%、50代で36.8%、60代で50.4%、70代で58.9%、80歳以上で55.6%となっており、60代になると50%を超え、年代が上がるにつれて、上昇する傾向になっています。ただし、前年度と比較すると39歳以下、80代が上昇し、その他の年代では減少する結果となりました。
<「計画があり、進めている」又は「計画はあるが、まだ進めていない」と回答した企業割合の2020年と2017年調査の年代別比較>
2020年 | 2017年 | |
39歳以下 | 19.0% | 18.0% |
40代 | 21.6% | 26.8% |
50代 | 36.8% | 41.6% |
60代 | 50.4% | 54.6% |
70代 | 58.9% | 60.2% |
80代 | 55.6% | 46.5% |
■事業承継で苦労したことトップは「後継者の育成」
事業承継で「苦労したこと」・「苦労しそうなこと」に対する回答はいずれも「後継者の育成」でした。「苦労したこと」の内訳を見ると、「相続税・贈与税などの税金対策」・「自社株など資産の取扱い」・「後継者の決定」・「後継者への権限移譲」等、事業承継には様々な課題が包含されていることが分かります。
■新型コロナウィルス拡大を契機に事業承継への関心が高くなった企業は8.9%
新型コロナウィルス拡大を契機として事業承継への関心について、「変わらない」と回答した企業は75.0%ですが、「高くなった」と回答した企業も8.9%になっています。
■さいごに
事業承継は約7割の企業において経営上の課題と位置付けられ、全国的な課題であると認識されいます。
創業152年の弊社においては、2020年7月に7代目の伊東由美子から8代目の伊東剛に無事事業承継が行われました。
その際に、後継者に一番伝えていかなければならなく、伝えにくいものは何か?と考えた時、それは「経営理念」と「創業の精神」ではないかと考え、整理しまとめたものが、下記の創業家系図です。